会長メッセージ(2023年4月)

1.「次期経営者を育成したい」とのご要望が多くなっています。

当会では今年7月から10月まで、後継者育成セミナーを行う予定です。セミナーと通信教育を合わせて、個別のフォローもさせて頂く予定です。
セミナーについての具体的な説明は6月になりますので、ここでは、後継者育成の関連情報を説明させていただきます。

中小企業庁が2017年に策定した「事業承継マニュアル」で述べられている後継者教育について、既に事業承継を終えた経営者へのアンケート調査結果が掲載されています。

①「後継者を決定するうえで最も重視した資質・能力」

「後継者を決定するうえで最も重視した資質・能力」について、特に小規模法人については「経営に対する意欲・覚悟」を重要視する割合が高くなっています。
後継者の意欲・覚悟が本物かどうかを見極めることが重要で、苦労が伴う経営判断を投げ出すようだと困るとの想いが強く慎重になりますし、事業承継した後もしばらくは見守るとか、相談に載ることがありそうです。

②後継者教育

「実施した後継者教育の内容」について、小規模法人では、「経営について社内で教育を行った」と回答する者の割合が多くなっています。
法人組織としての経営に関わる教育を重視しているものと推察されます。

2.経営者の役割

経営者の役割は何かとの疑問に対して、いろいろな考えがありますが、一例を以下に述べました。

①経営理念を掲げる
経営者は、どのような思いでこの事業をスタートしたのかを明確に示すことで、ステークホルダーからの共感を得ることができます。
経営理念に基づいた経営戦略であり、経営方針となります。

➁戦略思考で経営方針を策定する
戦略とは「強みを活かしてチャンスを獲得する」ことであり、外部環境・内部環境を分析して経営方針を策定します。

③ビジネスモデルの見える化
事業部の業務フローを見える化することで、取引先との連携強化が計りやすくなり、各担当者は自分の立ち位置を理解できチームワークが図れます。

④ステークホルダーとの双方向コミュニケーション
顧客及び従業員を含むステークホルダーとの双方向コミュニケーションを図ることにより、新規ビジネスが生まれることが多く、話しを聞くことの重要性を認識した経営者が勝者になることを意味しています。

⑤組織・人事の制度設計
企業は人により構成されています。人を活かす経営が求められます。
採用・配置・教育・評価・処遇を規定し運用しますが、現状に合わせ柔軟に運営します。

⑥製品サービスのブランディング
製品・サービスの価値を決めるのは顧客であり、誠実な製品・サービスを提供しても 顧客が価値を認めるための工夫が必要になります。
デザインの良さ、展示の上手さ、受賞歴の表示など、価値を高めるための投資が必要です。

⑦資金の調達と運用
融資を受けることで大きな事業を行うことができますし、費用対効果のバランスをとることで欠損にならずに利益確保することができます。

⑧DX化・生産性向上への投資
上手くいくとは限らないという難点があるものの、才能のあるエンジニアに依頼するのがコツではないかと思われます。

以上のように、経営者の役割の一部を並べましたが、経営者一人で行うのではなく、経営者は決めるだけで、実行は権限委譲するのが一般的です。
また、小規模事業者の場合には、総て、経営者が一人で行うことが多くなります。

3.経済産業省からCGSガイドライン改定の発表がありました。

2022年7月19日に、コーポレート・ガバナンス・システムに関する実務指針が改定されたとの発表がありました。
これは上場企業に対するガイドラインですが、優秀な中小企業経営者であれば、我がこととして捉えることでしょう。

ガイドライン改定の方向性としては、日本企業全体として「稼ぐ力」が低迷していることから、企業は維持継続するのではなく、持続的な成長と中長期的な企業価値の向上に寄与する経路を模索すべきとあります。
企業がグローバルな競争を勝ち抜き、中長期的な企業価値向上を実現するには、長期的な価値創造ストリーを描いたうえで、イノベーションや成長に向けた投資の促進が必要です。そのためには、経営者のアントレプレナーシップ(起業家精神)やアニマルスピリットが健全な形で発揮され、より良い経営戦略を立案し、スピードを持ってリスクテイク出来る環境を実現することや、企業価値の向上を強く意識したものであることが望まれています。

組織の執行機能の強化の中核となるのはトップの経営力です。
資質を備えた社長・CEOが、リーダーシップを発揮して経営改革を推進するための社内の仕組みを作り、「攻めのガバナンス」を実現するための取組として、トップマネジメントチームの組成と権限の委譲、経営戦略等の策定・実行における工夫、経営・執行の機能強化のための委員会の活用、経営陣の報酬、幹部候補字ン材の育成・エンゲージメント向上といった内容について、ベストプラクティスを整理しています。

4.後継者育成のテーマは多様です。

我がままで自分のことしか考えない人柄をどのようにしたら改善できるかといった問題にも対応したいと思います。

以下にもキーワードを並べてみました。
セミナーでは、多様な問題に対応するよう準備します。
ご要望を前もってお知らせいただければ幸いです。

一般社団法人渋谷区中小企業診断士会
会長 瀬尾千鶴子

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