会長メッセージ(2022年10月)

1.事業再構築補助金「グリーン成長枠」について

 事業再構築補助金は、第8回の公募期間:令和4年10月3日から令和5年1月13日18:00までが、本年度最後になりますが、9月8日に発表された「中小企業活性化パッケージNEXT」には、ポストコロナに向けた中小企業の前向きな投資を後押しするため「事業再構築補助金」及び「生産性革命推進事業」等の政策措置を導入するとありますので、来年度も継続されることが確実となりました。

 「グリーン成長枠」は第6回から加えられ、コロナによる売上高等減少要件を課しませんので、今後の事業再構築補助金は、アフターコロナでも外部環境ニーズに合わせて変化しながら継続していくことが見えてきました。

 小学校の教科書にも「SDG’s」「カーボンニュートラル」は掲載されており、小学生の意識は高いですが、若者の象徴となっているZ世代でも、仲間との会話に登場する等、意識が高くなっています。

 経営者の意識としても、地球温暖化を止めるために貢献できるのであればやってみたいと思うのではないでしょうか。「グリーン成長枠」の申請が増えて、地球環境が守られることは国民の願いであると思います。

2.「グリーン成長枠」の採択状況

 第6回から始まった「グリーン成長枠」は、大きな期待を担って登場しましたが、採択率は40%と低くなっています。
これは「グリーン成長枠」に求められる制約条件が多いことと、採択されるためには、事業再構築と言えるだけの大規模な事業展開をする事業であることが求められていることにあります。
更に、本命はこれだと思いますが、バックグラウンドとなる業界全体に明確な必要性があることが差を生んでいると思われます。
採択された8割から9割が製造業者であり、半導体と電気自動車関連が多くなっていることから、半導体不足対策とEV化を推進するための「グリーン成長枠」であることが分かります。

 14分野のうち「原子力」「船舶」「ライフスタイル」「航空機」の採択事例はほとんどありませんが、ないわけではありません。チャレンジされることを期待しています。

3.「グリーン成長枠」の制約条件

①令和3年6月18日付で策定された「2050年カーボンニュートラルに伴うグリーン成長戦略」において「実行計画」が策定されている14分野に関し、分野ごとに「現状と課題」として記載のある「課題」の解決に資する取組であることが必要です。

②その取組に関連する2年以上の研究開発・技術開発又は従業員の一定割合以上に対する人材育成を行うことについて、研究開発・技術開発計画書又は人材育成計画書として提出する必要があります。
審査項目(5)グリーン成長点については、当該研究開発・技術開発計画書又は人材育成計画書に基づき審査を行うので、詳細に記載することが求められています。

③「事業再構築指針」の「事業再構築の定義」に従い、「新分野展開」「事業転換」「業種転換」「業態転換」又は「事業再編」の5つのうち、いずれかの類型に該当する事業計画を策定すること。

④補助事業終了後3〜5年で付加価値額の年率平均5.0%以上増加、又は従業員一人当たり付加価値額の年率平均5.0%以上増加する見込みのある事業計画を策定すること。

⑤事業計画を認定経営革新等支援機関と策定すること。補助金額が3000万円を超える案件は認定経営革新等支援機関及び金融機関と策定していること。

4.「グリーン成長枠」で採択された事例を探す方法  

 事例そのものは分かりませんが、推測するところまでは分かります。

 中小企業庁の事業再構築補助金のホームページには多くの情報が掲載されています。ホームページの右上に「事業再構築〜虎の巻」があり、傾向と対策が詳細に出ています。「第6回公募採択結果」の中の「日本標準産業分類における事業計画の概要」を見ると、「事業計画名」「事業計画の概要」が掲載されています。Excelですので、気になるところを絞り込むことができます。

「グリーン成長枠」で応募を検討される事業者様は、渋谷診断士会へご相談ください。

以上です。

一般社団法人渋谷区中小企業診断士会
会長 瀬尾千鶴子

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